IPv6の接続確認と正しい設定方法について

現在、私達がインターネット接続で利用しているプロトコルは「IPv4」が一般的です。しかし、インターネットの発達・普及により、IPアドレスが近い将来枯渇するとされ、その解決策として「IPv6」を利用され始めました。また、最適なIPv6接続方法の場合、通信速度の向上も見込めるという点もあります。

もしかしたら、あなたが利用しているインターネット回線はIPv6に対応しているかもしれませんが、具体的にどのように確認すれば良いのでしょうか。今回は、IPv6の接続確認と設定方法についてご紹介します。

 

■IPv6の接続確認をする方法

IPv6の接続確認は難しいものではなく、比較的簡単に行えます。インターネット上の特定サイトにアクセスするだけで確認できるため、これからご紹介する方法で確認してみてはいかがでしょうか。

◇ネット上のWebサイトにアクセスする

簡単で分かりやすい確認方法として、IIJ や、KDDI にアクセスすることで確認することができます。それぞれのサイトの上部に、あなたがIPv4とIPv6のどちらで接続しているのかが表示されます。

IIJのサイトであれば「CONNECTED via IPv6」、KDDIのサイトであれば「IPv6対応 via IPv6」と表示されている場合、IPv6での接続ができています。

もし、これらの表示がなされていなければ、IPv4で接続していることになります。

IIJのサイト:https://www.iij.ad.jp/

KDDIのサイト:https://www.kddi.com/

◇接続確認専用サイトを使う

その他にも、接続確認専用サイト を使う方法もあります。こちらのサイトでは、単純なIPv6の接続確認だけでなく、プロバイダの情報やIPv4/IPv6のグローバルIPアドレスなどが確認可能です。

また、IPv6を利用するための準備スコアを10段階で表示してくれるため、より詳しく接続状況をチェックしたい方は、こちらのサイトも利用してみてはいかがでしょうか。

接続確認専用サイト: https://test-ipv6.com/

 

■IPv6の設定から接続確認までの流れ

ここでは、IPv6の設定から接続確認までの大まかな流れを紹介します。お使いのプロバイダやサービスの内容、利用デバイスによっても流れは異なるので、IPv6を利用するための概要としてご覧ください。

◇1:ネット環境の確認

はじめに、利用しているインターネット回線やプロバイダがIPv6に対応しているかを確認しましょう。場合によっては「すでにIPv6で通信している」ということも考えられます。

契約内容を確認したり、サービス・プロバイダ名に「IPv6」を付けて検索したりすることで確認可能です。

◇2:プロバイダのIPv6サービスに申し込む

契約回線がIPv6に対応していなかった場合、プロバイダのIPv6サービスに申し込みます。お使いのプロバイダによってサービス名称は異なるため、各プロバイダにご確認ください。

例えば、So-netなどであれば「v6プラス」、Yahoo!BB光であれば「IPv6高速ハイブリッド」などの名称で提供されています。

◇3:IPv6対応のルーターを用意する

IPv6に対応するためには、ルーターもIPv6に対応しているものが必要になります。特に、既存回線のままサービス内容だけを変更する場合、ルーターがIPv6に対応しているかどうかはしっかりと確認しましょう。

プロバイダから提供されたルーターであればプロバイダに確認し、自身で用意する場合は購入時に「IPv6」の表記があるかを確認します。具体的な設定内容に関しては、ルーターごとに異なるため、詳細はルーターの取扱説明書をご参照ください。

◇4:利用デバイスのOSを設定する

ルーターと同様に、パソコンやスマートフォン・タブレットなどのデバイスでもIPv6の設定が必要です。ここでは一例として、Windows 10でのIPv6の設定方法を簡単に紹介します。

1.「Windowsキー + S」で「ネットワーク接続の表示」を検索

2.「ネットワーク接続」の画面で「イーサネット」を右クリック

3.「プロパティ」を選択

4.「この接続は次の項目を使用します」の中にある「インターネット プロトコル バージョン 6(TCP/IPv6)」にチェックを入れる

5.「OK」ボタンをクリック

2の「イーサネット」は、パソコンの有線接続を行っている場合の一般的なインターネットアダプタの名称です。タブレットなどでは「Wi-Fi」などと表示される場合があります。

◇5:IPv6の接続確認

設定が完了したら、前述した接続確認サイトでIPv6の接続確認を行いましょう。

もし、IPv6の接続ができていない場合は、利用デバイスのOS設定・ルーター・回線の順番で、設定内容や契約内容を再度ご確認してみてください。

 

■IPv6接続時の注意点

IPv6を使用する際は、いくつか注意しなければならない点があります。IPv6接続時の代表的な注意点をご紹介しますので、一つずつ見ていきましょう。

◇速度を求めるならIPoE

IPv6接続には、「IPoE」と「PPPoE」による接続方式があります。従来のIPv4はPPPoEによる接続方式を採用していますが、通信速度の問題や設定の煩雑さなどのデメリットがあります。

また、IPv6にすると通信速度が向上すると考えられがちですが、厳密には「IPoEを利用したIPv6接続にすると通信速度が向上する」ことになりますので、覚えておきましょう。PPPoEを利用したIPv6では、IPv4と同様の方式であるため、通信速度が向上しません。

◇原則IPv4との互換性はない

IPv6はIPv4をもとに作られたプロトコルですが、基本的に互換性がないことを覚えておきましょう。IPアドレスの考え方から違うため、IPv6の通信ではIPv4しか対応していないサーバーなどへのアクセスはできません。例えるなら、日本語しか理解できない人(IPv4)に、英語でイギリスの法律について教えてほしい(IPv6)、と言われても答えられないようなものです。

しかし、インターネットに存在するすべてのサービスで一斉にIPv6に切り替えることはできません。そこで、「IPv4 over IPv6」や「IPv4/IPv6デュアルスタック」などの技術が用いられます。これらの技術は、ルーターの機能やプロバイダ側の機能として搭載されており、IPv6の通信でもIPv4しか対応していないサーバーとの通信を可能にするものです。IPv6の通信に切り替える際は、ルーターやプロバイダの機能として、「IPv4 over IPv6」や「IPv4/IPv6デュアルスタック」などの技術に対応しているかどうかを確認しましょう。

◇利用できないサービスもある

よくIPv6にすると、オンラインゲームができなくなるという話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。こちらも、先ほどお話したIPv4との互換性がないことが原因です。

IPv4 over IPv6などに対応していれば問題なく利用できますが、IPアドレス固定化や、特定のポートを指定した通信は行えない可能性が高くなります。

IPv4 over IPv6では、IPv4とIPv6の変換時に自動でIPアドレスとポート番号が割り振られるため、一般ユーザーは指定できない場合が多いのです。具体的な内容については、プロバイダによって異なるため、詳細はプロバイダにご確認ください。

特定のオンラインゲームだけでなく、サーバー公開なども難しくなりますが、IPアドレスの固定化はオプションサービスとして提供しているプロバイダもあります。これらに該当するような場合には、IPv6に切り替える際にしっかりとプロバイダに確認を取りましょう。

 

■IPv6でインターネットを楽しもう

IPv6は現在主流でもあるIPv4の次のプロトコルとして、徐々に普及し始めています。お使いの回線でIPv6接続ができるかを確認する際には、IIJやKDDI、接続確認専用サイトで簡単に確認することができます。

IPv6に切り替える際には、プロバイダへのサービス申し込みだけでなく、ルーターの準備や利用デバイスのOS設定を忘れないようにしましょう。

また、注意点として、IPoE方式でないと速度向上が望めないこと、原則IPv4との互換性はないこと、利用できないサービスもあることは事前に覚えておきましょう。IPv4との互換性はありませんが、それを補う技術である「IPv4 over IPv6」などもあります。

IPv6にすることで、インターネット速度が向上するメリットもありますので、ぜひこの記事を参考にIPv6を使ってみてはいかがでしょうか。